UCHEW-NISSHI

Tokyo Based DJ KNK's Blog - 音楽関連、東京近辺のパーティ情報、各地の旅先での音楽に関連した散策、読んだ本や見た映画について

マイケル・ジャクソンについて

Michael Jacksonライヴ・イン・ブカレスト [DVD]


最近、住まいを中央線沿線へと移した。
団地風の建物の中で、生まれて初めて家族以外の人と住むという貴重な体験をしている。


そこで、夜な夜な僕達が鑑賞しているのが、マイケルジャクソンのライブDVD。
これの出来が本当に素晴らしくて、いつ見てもうっすらと涙が浮かんでくるほどのもの。


マイケルといえば、いまやスキャンダルの申し子のような扱いをされていて、
やれ鼻がとれただのやれ家を取られただの、もっぱら世間の嘲笑の的として会話の俎上に上がる。
もちろん彼のしたことは全て自業自得なわけだし、それについて特に擁護する気もない。
ただ、笑うのなら彼の創り上げたものの素晴らしさに一度でいいから触れたうえで、思いっきり笑ってほしい。


彼の楽曲やPVの素晴らしさ(音楽的価値を語らずとも、世界中の人が今でも愛しているという事実を述べるだけでことたりる)だけでなく、
特にこのDVDに収められているライブパフォーマンスは圧巻だ。




ポストモダン以降のポップカルチャーにはもはや見られなくなってしまった、完璧な物語の構築としてのライブ・アクト。
それは、彼の考える「エンターテイメント」というものを一身で体現し、全世界に対して投げかけるものである。


同意を求めるわけでもなく、何かを批判するわけでもなく、自らの存在証明としてそこに立つ、ということ。
それを断固としてやり遂げているから、彼の存在それ自体が肉体を離れ、その場全体を支配している。
失神する者が多いのは、彼との主観と主観が溶け合ったコミュニケーション(それは日常生活時間を離れた内的時間の一致を意味する)に身体が耐えられなくなってしまったからだ。


画面の向こうに閉ざされてなお見るものの心を揺さぶるのは、曲でも踊りでも歌でもなく、彼の存在そのものなのだ。


最後に、彼の散財家ぶりを笑うものに対して一言言って今日は終わりにする。
何度も言うが、散財自体は彼のしたことだし、その過程では何か間違いを犯したかもしれない。
彼も神ではなくただの人間なのだからそれくらいはするだろう。
ただ、Man in the Mirrorで鏡の中の自分にまず問いかけろと歌い、
Heal the Worldでお互いのことを少し気にかけるだけで世界は変わるんだと歌った彼が、
なんの考えもなしにただ自己の欲求を満たすために散財したのだろうか?


私は、彼がむしろ、持てる財産を全てつぎ込むことで経済的不平等を是正しようとしたのではないだろうかと思う。
共産主義的計画経済が、みなで無駄を切り捨て生きていこうとするものであるのなら、
彼は全く逆にとことんまでお金を使うことでむしろお金の価値、力を無に帰そうとしたのではないか。


もっとも僕は経済学者ではないので、この話につっこむことはできない。
ただ、このことは最近よく考えていることなのでまとまり次第ここに載せていこうと思う。


[asin:B0002XH9Z4:detail]
[asin:B001041JKU:detail]