UCHEW-NISSHI

Tokyo Based DJ KNK's Blog - 音楽関連、東京近辺のパーティ情報、各地の旅先での音楽に関連した散策、読んだ本や見た映画について

Nightmare On Elmstreet

今年の公開情報が出てからかなり楽しみにしていた映画の一つ、『エルム街の悪夢』を見てきた。あまり評判がよくないという前情報を得て臨んだが、果たして結果はその通り、自分がリメイク物に求める唯一の点、「原作への愛」すら感じられないままに終わる駄作といえる内容だった。

見終わって感じたのは、ロバート・イングランドの偉大さだった。他の殺人鬼と違い、仮面をかぶっているわけではないフレディという悪魔は、アイコンと化しているが故にもうほかの人が演じるのでは満足されない存在になってしまっているのだということを改めて感じた。最も、それは今作でフレディを演じたJacky Earle Haleyの責任というよりは、作り手の責任であるように思われる。おそらく、昨今のリメイク物における80'sホラーの現代的解釈としてのリアルさの追求を行った結果でこうなったのだろうが、それはこの作品を愛する人たちが何を愛しているのかを見誤っているといわざるをえない。この作品の魅力は残虐な殺戮シーンでも、夢の中で殺すというアイデアでもない。ロバート・イングランド演じるフレディというキャラクターなのである(最も、上記の殺戮方法だったり夢だったりというものもそのキャラクターに含まれているわけだが)。リアルさを追求したが故のサスペンス的なストーリー展開は確かにおもしろかったし、そんなわけないと思いつつも一瞬フレディ・クルーガーが可哀想なやつなのでは?ということが頭をよぎった。しかし、サスペンス=現実世界での理論的推理と、夢の中での殺人という両立できない二つを盛り込んだ故、おきながらに寝ているという無理な設定を加える必要が生じ、それはさらにファンタジックな夢の世界という作品の持ち味をまた一つ消してしまうことになった。ハロウィンから始まり最早定番と化した感もある「戸棚のシーン」のフレディ的解釈はそれなりにおもしろかったが、それ以外の新しいシーンは正直あくびが出そうなものばかり。久しぶりに悲しい気分で映画館を出るホラー映画になってしまった。

とはいえ、ホラー映画が世に出るのはやはりうれしいもの。これにめげずに次作が製作されることに期待!できればホラーが好きな監督に撮ってもらいたいけれど。
どうせ現代風にするなら、傑作リアル・ナイトメア風のポストモダン的解釈がいいな。

・ちなみにウェスクレイブンはスクリーム4、5、6を製作中!こっちにもかなり期待している。Twitter上で関心を煽る等、現代的感覚を未だに持ち続けているウェスクレイブン。今度はホラーをどういう切り口で料理してくれるのかな。