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UK FUNKY - 流星のように現れて消えた音楽シーン(UK Guardian, 2014年8月29日)

UK FUNKY

FUNKY, UK FUNKY HOUSEとも呼ばれるこのジャンル、そう言われてみれば最近聞かないなと思っていたところで、UKのガーディアン紙(イギリス本国の大手新聞)にちょうどファンキーを取り上げた記事が掲載されていたので、ざっと内容を訳してみました。
このUK FUNKY、数年前にはSoul Jazzからコンピがリリースされて、ダブステップの次に来るのはこれだ!というような感じで取り上げられてましたが、いつの間にか店頭からはコーナーが消え去り、あまり聞かれない単語になりました。
BPM 130以上のハウスビート(厳密には四つうちではない曲が多かったように思います)に、クラーベ的なリズムのクラップだったりソカ/ダンスホール・レゲェ的なパーカッションだったりが乗った感じのイメージの曲が多かったこのジャンル、記事を読むとシーンが形成される前に消滅した、というような書かれ方をしていますが、どちらかというと自分はグライムやダブステップのプロデューサーたちが四つうちに回帰していく中でその流れの中に呑まれていったようなイメージでいます。当時FUNKYと呼ばれていたような曲は今でもあるし。
よくジャンル分けの是非みたいなことが議論されてますが、音楽的要素でのジャンル分けとは別に、特定の音楽のバックには特定のシーンがあることを忘れてはいけないんじゃないかと思います。こういったシーンは日本では世間一般的に認知されるところまで成長することが少なく、CDショップの店頭や雑誌ではなかなか読み取れないためか、ジャンル論議は音楽的要素に終始することが多いですが、本来ジャンルの後ろにはシーンがあって、だからこそ部族的に分かれていくものであるということをもっと多くの人に知ってもらいたい、そしてその現場に足を運んでもらいたい、そんなことを考えるきっかけになる記事でした。

※2014/9/3 01:08 語弊のある部分を少し直しました。

 

拙い訳ですが、興味のある方はご覧ください↓
 次々と移り変わるUKクラブミュージックの潮流を理解するには、2000年代後半のUK Funkyシーン出身の黒人プロデューサー達に注目するのも良いかもしれない。
 Rinse FMからタフでかつ幅広い指示を得るサウンドを発信しているRoska、Marcus Nastyや、ポップかつダンサブルなIll Blu、アンビエントで母性的なCooly G、そしてHyperdubにおけるCooly Gのレーベルメイトでもあり、トリップ感のある音が特徴のDVAなど、それぞれが全く違う音を作っているが、彼/彼女らは皆2006年から2010年頃に一瞬はやったUK Funkyのシーンを通じてブレイクしている。

 当時、Funkyはシーンを席巻していた。Funkyはハウスのグル―ヴを底流にGrimeダンスホールレゲエやソカの要素を足して太いベースを乗せた音楽で、それは幾夏かの間UKのパイレーツラジオやクラブでかかり続けていた音楽だった。しかし、長くは続かなかった。

 RoskaはFunkyのシーンについて「2011年には終わっていた。もう誰も気にしていなかったし、みんな別のことを始めていたんだ」と語る。彼の言う通り、2011年にはFunkyは完全に消滅していた。流行が終わってもコアなファンが一部残りシーンをつないでいくようなことはBassline Houseのような他のシーンではよくあることだが、Funkyはそうではなく、本当にシーンごと消えてしまっていた。
 Cooly Gは、シーンの強度が十分ではなかったと指摘する。「シーンにかかわっていた人たちほGrimeのように緊密ではなかった。それに、Funkyのトラックを作ろうというプロデューサーは多くいたけど、みんなでシーンを作り上げようという人はいなかった。」

 このようなバラバラさはFunkyシーンを短命にしたが、一方でFunkyの魅力的な部分でもある。
Roska曰く、Funkyの音は"make-do sound(片っ端から音を作っていくジャンル的な意味?)"である。それは、ハウス、グライム、ダンスホール、ソカ、ダブステップといった異なるバックグラウンドを持つ者それぞれに対して魅力を持つ音だった。Bassline Houseとは違い、Funkyにはこのような多様性があり、逆にだからこそ簡単に分裂してしまったのだと言える。

 UKが産んだ他のジャンルと同じように、Funkyは様々なジャンルの混合物であり、それは全くの偶然の産物だった。しかし、その音はシーンに大きな影響を与えた。
 Cooly Gは「いろいろなことが変わった」と言っている。それまでUKシーンにおいて支配的だったDubstepGrimeとは別のものがうまれ、それはHyperdubやNight Slugs、Local Action、FourtetのText Imprintといった前衛的なレーベルに刺激を与えた。そして、現在チャートを賑わしているDisclosure、Route 94、Gorgon Cityといったハウスグルーヴ、アフロビート出身の新世代を導くことになった。RoskaやDVA、Cooly G (そしてChampion, Funky Stepz, lil Silvaも) がシーンの消滅後も変わらず活躍していることも含め、Funkyの勃興、そして消滅は終焉ではなく、新たな創造といっていいものに思われる。

原文はこちら↓

UK funky: a short-lived sound whose influence lives on | Music | The Guardian

 

訳では割愛しましたが、原文中で紹介されていた曲のYoutubeは下記↓


Ill Blu Nyah Princess Frontline - YouTube


DJ NG ft Baby Katy & MC Versatile - Tell Me - YouTube


Funky House Apple - Mr Bean - YouTube


Cooly G: Narst (Hyperdub 2009) - YouTube


Gracious K - Migraine Skank (Official Video) - Out ...


KIG - Head, Shoulders, Kneez & Toez - Out Now ...

 

Riddim Box: Soul Jazz Records Presents

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Ministry of Sound: Sound of UK Funky

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Rinse Presents Roska 12 Number One

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Head, Shoulders, Kneez & Toez

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