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Addison Groove: DTM/トラックメイキングにおける5つの秘訣 (XLR8R, 2014年9月8日)

トラックメイキングをいざ始めてみると、DJ/リスナーとして曲を聞いている範囲では全く気にならなかった部分がどんどん気になってくるようになった。よく聞くあの音はどうやって作ってるんだろうとか、音をこういう風に聞かせるには一体どういう処理をするんだろうとか、あのアーティスト/あのジャンルに特有なこの感じはどうやって出すんだろうとか。例えば料理とか、HTMLとか、家電製品とか、商売とか、なんでもそうだと思うけど、それまで当たり前のものとして享受しているものが中に入った途端に当たり前のことではなくなり、自分がいかに何も知らないかということを一分一秒気づかされるようになる。

そのためか、これまでアーティストのインタビューと言えばどちらかと言うと抽象的な、例えば思想・バックグラウンド・生い立ちといったものを好んで読んでいたけれど、最近はより具体的な、製作環境だったり音作りにまつわることだったりといったものを好んで読むようになっている。

先日、アメリカのエレクトロニックミュージックに特化したWEBマガジン"XLR8R"に掲載されていたAddison Grooveの音作りにまつわるインタビューはまさにそのど真ん中の内容だった。Addison Grooveと言えば、自分にとっては一風変わったベースミュージックの作り手というイメージ。話している内容はトラックメイキングの際に彼が考えていることなどで、非常に具体的に簡潔にまとめられていてとても参考になる。自分の理解度向上のためにも以下に拙訳を掲載するので、興味がある人は是非。とりあえずUAD Pultecを使ってみたい!!!

 

 トニーウィリアムズのプロジェクト、Addison Grooveは2010年にFootcrabという衝撃なトラックとともに彗星のようにダンスミュージック界に出現した。それ以来、このブリストル出身のプロデューサーは制作の手を一向にゆるめることなく進み続けている。この数年で彼は2つのアルバムと、数えきれないほどのシングルとEPをリリースしてきた。その最新のものは、50weaponsから先月リリースされた"Turn Up the Silence"である。この間、彼はフットワークのリズムとUKの伝統的な重低音を融合させたタイプの音楽の代名詞となり、さらにローランドのドラムマシンTR-808の使い手としても知られるようになった。XLR8Rは彼の驚異的な制作の裏にあるメソッドに興味を持ち、今回一連のArtist Tipsシリーズとしてインタビューを実施した。(以下、語り手はAddison Groove)

 

<Mixdown ミックス・ダウン>

これはそんなに長々と話すことではない。もし一週間以上ハイハットとスネアを"一緒に"聞かせることに腐心しているなら、それは僕に言わせれば十中八九EQか音量バランスで解消されることだと思われる。それはだいたいサンプルや音色が正しく働いていないから起こることなんだ。だから僕は制作を始める際に高いクオリティのサンプルを使うようにしている。そうすることで制作の最終段階で手を加える際にも時間のロスを押さえることができるんだ。

ドラムに関しては、ほとんど808を使っている。ありがたいことにこいつはミックスダウンの時にほとんど手を加えなくてよい優れものだ。もちろん僕は808のマシーン自体も持っているけど、最近は制作の時にはマシーンは利用せずに予めサンプル化してあるものを利用している。サンプルが力強く聞こえるように、録音の際にはMackie Deskを利用し、UAD ApolloAPIのようなプリアンプを通して入力している。一旦全部取り込んでしまえば、高音質のサンプルとなって制作にかかる時間もミックスダウンにかける時間も非常に短縮してくれる。

808やUADカードを持ってなくて、Abletonで音を良く/でかくしようと苦戦しているなら、AbletonのReWireモードを利用して、別のDAWをミキシングデスクとして利用するといい。僕はReWireモードのAbletonとLogicを使ってる。このやり方が自分的には一番しっくりくる音になるから。セットアップはそんなに手間のかかることじゃないし、やるならとにかくテンプレート化して制作のフローを早くするのがいいと思う。

 

<Quality Control クオリティコントロール>

世界中のDJが今週末その曲をかけたくて仕方なくなるような最高な曲ができた時のことを想像してみてほしい。次に、数年間トラックメイキングを続ける傍ら、トラックができたらすぐにいろいろな人に送っている状態を想像してほしい。トラックができた瞬間の堪え難い興奮(これは僕も感じていたことがある)によって、とにかくできたトラックをすべて送ってしまうから、やがて貰い手の人々は受信箱に君の名前があるだけでしんどさを感じるようになってしまう。そのうちにはじめに言ったような最高な曲ができたとしても、もう君のトラックを聞いてくれる人はいなくなってしまうだろう。彼らにとって君のメールは迷惑メール以外の何者でもないからだ。

発信のクオリティをコントロールすることは重要なことだ。もし10曲素晴らしい曲があって、そのすべてを多くの人に聞いてほしいと思うなら、一番良い方法は実際は1〜2曲だけ送ることだ。MP3はいとも簡単に世界中に届くが、一方でいとも簡単に誰にも気付かれないものにもなってしまう。僕のところにもよくZIPファイルが届く。だいたい20曲くらい入ってたりするけど、10曲を過ぎたころにはしんどくて全部同じに聞こえるようになってしまう。

だから僕はこう提言する:自分が持っている最高のものだけを送信しろ。ヤバいのが大量にあったとしても、送信するのは何曲かにとどめたほうがいい。そのほうが、返信だったりクラブでのプレイといった反応の確率が格段にアップするからだ。僕はマメに返信をするタイプではないけど、ヤバい曲が届いて、それが僕のセットにマッチするならば間違いなくそれをクラブでプレイするよ。

 

<Hardware ハードウェア>

絶対に必要ってわけじゃないけど、機材を持つことはいいことだと思う。ドラムマシーン、ミキシング・デスク、ギターペダル、サウンドジェネレーターのようなものはコンピューターの外で音がどう働くかということのアイデアを提供してくれる。一個常にやっておきたいと思ってることは、ジャムセッション用に808とJunoを常に準備しておくことだ。なんでか、制作の途中に外に出れるようにすることは解放感があるし、音楽もモニターの前に釘付けにされてる時とは違った聞こえ方がするようになる。ちゃんとしたMidiコントローラーでも同じように使うことができると思う。

 

<EQ>

僕のトラックでもっとも使われてるプロセッサーはEQだ。EQに関してはきっと永久に一番いいものを探し続けるんだと思う。ここで僕がよく使ってるEQを3つ紹介したいと思う。(※原文のサイトには画像も掲載されてます)

  1. UAD Pultec - どんな音にも素晴らしい色/キャラクター付をしてくれる
  2. Waves Q4 - これまで使った中で最も透明感のあるEQ
  3. FabFilter Pro Q - EQとしてもフィルターとしても使える。Wavesを使うようになるまではだいたいこれを使ってた。

 

<Other Music 他の音楽>

僕は音楽にかける時間の90%を簡単には出会えない音を聞くことに費やしてる。ラジオを聞いてると、トラップ、R&B、ハウス、ヒップホップとかとかがだいたい流れてるけど、ラジオ局はだいたいそれ以上深く突っ込んだ曲を流すことはない。例外はBBC Radio6とかどっかの学生ラジオとかそれくらいかな。だからあえていろんな曲を聞くようにしている。例えばある週には60年代のアンゴラの曲を聞いて、次の週は20年代のジャズを、みたいな感じに。もちろん元々そういうのが好きだからっていうこともあるけど、そうすることで他の人の音楽をコピーすることを避けられるんだ。もちろん最新の音楽を追うことはとても大事だと思う。それは僕のDJ/音楽愛好家としての仕事の一部だ。でもずっとそうしてたら、気付いた時には他の人の曲をコピーするようになってしまっていると思う。他の音楽からインスピレーションを取り入れて、単なるコピーから脱却する。そうすることで君の音楽には君が受けてきた影響や君自身の味付けが反映されて、やがて君だけの音が出来上がるだろう。

原文はこちら↓

Artist Tips: Addison Groove Shares Five of His Production Secrets | XLR8R

 

紹介されてるEQプラグインのリンクはこちら

  1. UAD Pultec - Pultec Pro EQ Plug-In | Universal Audio
  2. WavesQ4 - Q10 – 10 Band Paragraphic EQ Plugin | Waves ※見つかったのはQ10だけでした
  3. FabFilter Pro Q - FabFilter Download - FabFilter Pro-Q high-quality equalizer plug-in

 

 

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