UCHEW-NISSHI

Tokyo Based DJ KNK's Blog - 音楽関連、東京近辺のパーティ情報、各地の旅先での音楽に関連した散策、読んだ本や見た映画について

三島由紀夫『行動学入門』を読んで

実は自分は三島由紀夫というものをほとんど読んだことがなくて(それは彼の最期にまつわるエピソードが多分に影響している)、この本が初めての三島作品だった。

読み終わって、彼は1960年代に取り残された人なんだな、という印象を強くもった。1960年代は1人ないし特定のグループに端を発する行動が世界を変え得ると信じられていた時代だと自分は思っている 。例えばウッドストックを頂点とするヒッピー的なムーブメントや安保闘争、そして少年ライフル魔事件や三億円事件など、この時代の出来事の根底にはその大小はあれど世界を変革しようという意志を読み取ることができると自分は思っている。

これらの1960年代を彩る出来事についてはいずれまとめてみたいと思っているが、三島はこうした1960年代的な「世界を変革しようとする意志」を1960年代に発散することができずそれを持て余した人なのではないかと思った。そう考えると彼の最期にもある程度納得がいく。彼は世界を変革するためにEminemが"Lose Yourself"の中で歌うOne Shotを追及したのではないか、と。

現代において彼のイデオロギーに共感を示すことは自分にとっては非常に難しい。でも、自分の一生を凝縮した行動 (One Shot) に込めようという姿勢には非常に共感できる。その一発によって現実を打破したいという意識は自分の中に確実にあるし、DJの現場では常にそこがその一発足り得るようなプレイをしなければならないと心がけている。そういう意味で自分もまた1960年代を知らぬまま生まれてきているものの1960年代に囚われている1人なのかもしれない。 

行動学入門 (文春文庫)

行動学入門 (文春文庫)