UCHEW-NISSHI

Tokyo Based DJ KNK's Blog - 音楽関連、東京近辺のパーティ情報、各地の旅先での音楽に関連した散策、読んだ本や見た映画について

期待の映画 3

ガンダムUC

>>2010年2月20日より全国劇場5館でのプレミアレビュー、劇場でのBlu-ray Disc先行販売、同時にネットワーク配信がスタート! ストーリーは、「亡国のイージス」で知られる人気作家・福井晴敏。監督・古橋一浩、キャラクターデザイン原案・安彦良和メカニカルデザインカトキハジメをはじめ、トップクリエーターが一堂に集結!ファン待望の壮大な宇宙世紀「UC」の世界を描き出します(オフィシャルサイトより)<<

映画というよりはOVAだけど、一応劇場でプレミア・ビューをやるということで。仕事で少し出来上がった映像を見る機会がありましたが、想像以上におもしろかった!
ただし、より一層楽しむためにも原作を一読することをおすすめ。ガンダムUCが「00年代の宇宙世紀」たりえた理由とか、キャラクターの内面、ストーリーの奥深さを知るためにはやはり福井晴敏の文章が必須。もちろんストーリーをその場で体感したい、というなら順序は逆でもいいのだろうけど、歴代の名作ガンダムがどれもそうであるようにストーリーを知っているかどうかは楽しめるかどうかにはさして影響しないと僕は感じた。むしろ小説こそ重厚なストーリーの流れを感じられるんじゃないかな。

ゼロ年代の後半、宇野常寛が提唱した『決断主義』が論壇を賑わせていた。彼に対してはいろいろな感情が入り混じった声があるみたいだけど、とりあえずこのガンダムUCはイチゼロ年代の新しい潮流、その胎動を感じさせるものがあるように思える。
コードギアスなどに見られる「世界がそうであるならそれを突き詰めて生きる」という決意はどこかひねくれたものを感じさせるものだった。しかし、このガンダムにはそのような卑屈さは全くない。主人公バナージはフィルターのかからない(エゴを意識しない、というよりはエゴを飲み込んだ)やり方で世界を眺め、そこで自らの正しさ自体をも相対化している。この相対主義を通して学ばれるものにこそ、次の生き方が見えてくる、そんな気がする。
グレンラガンガンダムの主人公が青年から少年に再びシフトしているということもなんだか象徴的な気がする。もう一度、フィルターのかからない視点で世界を見たとき、そこには何がみえるのか。世界が暴力の連鎖を一周して「友愛」や「マイケル的なLove」に立ち戻った今、テロを出発点としたゼロ年代とは違った10年間が始まる。