UCHEW-NISSHI

Tokyo Based DJ KNK's Blog - 音楽関連、東京近辺のパーティ情報、各地の旅先での音楽に関連した散策、読んだ本や見た映画について

The Wave(ウェイヴ)

the waveていう映画を見てきた。
舞台はドイツ。独裁制をテーマにした実習授業。教師は、簡単なルールを決める。指導者の名前には「様」をつけて敬う、許可なく発言してはならない、クラスの仲間はお互い助け合う、制服として白いシャツを着用する。はじめはただの遊びだったその授業は、やがて少しずつおかしな方向に進みはじめる…



この映画の衝撃的な要素は2つある。ひとつは、この映画で描かれていることが実話であるということだ。結果として起こってしまった事件も重いが、それ以上にある集団が簡単に変質していってしまうことが多くの人にとっては驚きだろう。この映画の主題も、当然そこに置かれている。独裁制という、いまはもう死に絶えたと思われる観念が一体どのようなことを意味するのか。差別という深い問題がどのように簡単にできあがってしまうか。絶対に思える倫理というものがどれだけうつろいやすく、曲がりやすいか。そのような、人間、社会の本性を世に問う作品である。
しかし、恐らく日本の小学校中学校を体験した者にとっては、衝撃は全く別のところに表れる。この事件の過程に全く衝撃を受けないということ。それが、ぼくにとって最も衝撃的だったことだ。雑然としていた教室は、教室が模様替えをしたとたんにひどく懐かしい風景になる。挙手をし、立って発言することも全くもって普通のことだ。制服も当然あるし、仲間うちのサインも昔はよく作って遊んでいたし、話相手に敬称をつけて話すことはむしろ当然だ。実際、この映画で描かれていることには、全く違和感がない。それが衝撃なのだ。
我々の受けてきた教育がどのようなものだったか。それが相対化されるとどのように写るのか。もちろん、実際にそれを受けてきた人間としてそれらがすべて間違っているとは全く思わない。集団で動くためには統率も必要だし、自分たちのグループを視覚化し差異化するのは気分がいいものだ。要は、バランスの問題だと思う。しかし、自分たちが当然だと思っているものが見方を変えるといかに奇異なものに写るか、それを知るということはいつだっていいことだ。

・調べてみると、基になった事件があったのは1967年、アメリカでのことらしい。どこかに文献がないか探してみる。