Global Bass Musicの雄:Enchufadaについて
今年秋に開催されるRed Bull Music Academy関連のイベントが次々と公開されています。今年東京で開催されるRBMAは、エナジードリンクで有名な飲料メーカーRed Bullが主催する擬似的な音楽学校。毎年各都市を巡業して行われており、開催地では音楽に関する講演やワークショップ、そして最先端の音楽を体感できるイベントが多数開催されます。下記は公式サイトから拝借した今年東京で開催されるイベントの一覧です。
そうそうたるメンツが出演するイベントが続々開催されることがわかると思います。Back To Chillでの開催もありますが、その中でも自分は代官山Unitで開催される"TOKYO IN DUB"というイベントがかなり楽しみです。
Jah Shaka, Fat Freddy's Dropはもちろんなのですが、自分がこのイベントを楽しみにしているのは、おそらくSaloonで"Enchufada Hard Ass Sessions"としてBranko, Mumdance, Dengue Dengue Dengueが出演するからです。このEnchufadaはポルトガル発の音楽レーベルで、今の自分のDJにおいて結構な割合を占めているような曲を多く世に送り出しています。この日も出演するBuraka Som Sistemaの一員としても有名なBrankoが運営しているレーベルですが、おもしろい試みを数多くしているレーベルなので、少し紹介したいと思います。
1 Global Bass Musicに特化したラインナップ
そもそもGlobal Bass Musicとは何ぞや?という方もいらっしゃると思いますが、ここでは一旦「イギリスやアメリカ以外のシーンから発見される、各地域独特の進化を遂げたベースミュージックの総称」という形で定義しておきたいと思います。インターネットの発達以来、こうしたシーンが発見/再発見される機会は爆発的に増えました。例えばBuraka Som Sistemaが一躍有名になったKuduroや、コロンビアの伝統音楽を電子音楽と誘導させたDigital Cumbia, Reggaetonから派生したMoombahton, Zouk Bassやブラジル発祥のBaile Funk (バイレ・ファンキ)等がその一例として上げられます。Enchufadaは、こうした音楽ジャンルのオリジナルプレイヤー、そしてそれらを模倣した全国各地のトラックメイカーが作る音楽に焦点を当てたレーベルです。
2 フリーダウンロードシリーズ"UPPERCUT SESSIONS"の充実
上記のような音楽ジャンルを世に広める上で、フィジカル/デジタルなリリースはあまり効果がありません。特にインターネット上では人々は検索で商品にたどり着く(=知らない商品にはたどり着かない)という傾向が強くなるためです。そこで、このEnchufadaレーベルでは、Global Bass Musicに関連するトラックを月に1度位のペースでフリーダウンロードで公開しています。これがUPPERCUT SESSIONSというシリーズです。このシリーズに登場するのは、ビッグネームからまだ知られていないルーキーまで、そしてジャンルも様々です。フリーダウンロードながら、非常にクオリティも高く、Branko自身もBBCやBoiler RoomでのDJプレイにおいてここから多くの曲をセレクトしプレイしています。一定期間を経るとBeatport等で販売されるようになり、フリーでは手に入らなくなりますが、フリーの期間もかなり長いので、その間で十分楽しめると思います。
まとめ
というわけで、Enchufadaはその扱う音楽ジャンル、そしてリリース方法が非常に特異でおもしろいレーベルです。今回のイベントに出演するDengue Dengue Dengueは元々デジタルクンビアのプロデューサーですが、Enchufadaからのリリースを通じてZouk Bassの文脈でも指示が得られるようになりました。Global Bass Musicという看板のもとに様々なジャンルが集まっていることが一番おもしろいと思います。自分も、こういうジャンルの音楽をなんとか日本で広めたいと思って日々活動中です。是非、聞いてみて気に入った感じのものがありましたらどこかのフロアでお会いしましょう。
Hard Ass Sessions - Volume IV [Explicit]
- アーティスト: Various Artists
- 出版社/メーカー: Enchufada
- 発売日: 2010/12/14
- メディア: MP3 ダウンロード
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参考URL
Red Bull Music Academy | Red Bull